オフショア開発は失敗しやすい!?事前に知っておきたい成功の極意
オフショア開発が年々普及していく中、オフショア開発の失敗事例も多く見られています。オフショア開発を活用するにあたっては、その失敗原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
本記事では、オフショア開発の失敗事例とその原因、さらに失敗を回避するための対策について解説します。オフショア開発を推進している株式会社SALTOが、品質の低下やコミュニケーションの問題など、失敗事例を具体的に振り返りながら、成功への鍵を探っていきます。
そもそもオフショア開発とは何か
オフショア開発とは、企業が海外の企業にシステム開発の一部を委託する開発方法です。日本企業のオフショア開発先としては、ベトナムが一番に選ばれています。オフショア開発には、開発コストの削減やグローバルなエンジニアリソースの活用など、多くのメリットがあります。
オフショア開発の詳しいメリットやデメリットについては下記記事を参考にしてください!
メリットが多いオフショア開発ですが、異文化間でコミュニケーションをとりながら開発を進めて行くので、当然ながら国内開発とは違った失敗が伴います。
本記事では、オフショア開発でよく起こる失敗事例を基に、成功のためのポイントを紹介します。初めてオフショア開発の活用を検討している方はぜひ参考にしてください。
オフショア開発の主要国
オフショア開発では、基本的に人件費の安いアジア諸国が選ばれます。
本章では人気の3ヶ国である、ベトナム、フィリピン、インドをピックアップして、その特徴を簡単に解説します。
ベトナム
ベトナムはオフショア開発の委託先として、圧倒的な人気を誇っています。オフショア開発を活用している企業の50%以上が、ベトナムをオフショア開発の委託先として選んでいます。
ベトナムは開発コストが割安で、IT人材も豊富、また時差も少なく地理的にも近いなど、日本の会社にとって多くの魅力をバランスよく兼ね備えているのです。
さらに、ベトナムが日本語教育に注力している関係で、日本語でコミュニケーションがとれるエンジニアが他のアジア諸国よりも多くおり、オフショア開発でしばしば生じる認識の齟齬を低減できます。

開発オクトパス
ベトナムがオフショア開発で1番人気な理由をもっと詳しく知りたい方は、下記記事で紹介しているのでぜひご覧ください。
フィリピン
フィリピンは、ベトナム同様、システム開発のコストが他のアジア諸国と比較しても安いことと、日本との時差が1時間程度しかないのが大きな特徴です。日本語でコミュニケーションがとれるエンジニアの数は限られていますが、英語に関してはネイティブレベルに話せるエンジニアが多くいます。
時間に対しては少しルーズなところがありますので、プロジェクトの進捗はこまめに追う必要があります。

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インド
インドはシステム開発の技術力と英語力が非常に高く、世界中から高い評価を得ています。
ベトナムやフィリピンと比較すると開発コストは割高ではありますが、開発コストをかけてでも優秀なITエンジニアに開発を任せたいといった会社の委託先としてはピッタリでしょう。
ただし、インド人は歴史的な背景から自己主張が非常に強い傾向にあり、控えめな性格の日本人では、コミュニケーションのやりとりやチームをまとめる際に少々困難を感じるでしょう。

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よくあるオフショア開発の失敗事例
オフショア開発は異文化間でコミュニケーションを取りながら開発を進めていきますので、国内開発では想定していないような失敗が起こり得ます。その失敗のほとんどは以下の3つに分類できます。
想像よりも納品物の質が低い
エンジニアのスキルや知識不足で納品された成果物が思っていたように動作しなかったり、仕様書どおりに動作はするもののパフォーマンスが低かったり、、、といった失敗事例は間々あります。
また、そもそも品質を担保するための体制がしっかり構築されておらず、テストもそこそこに納品去れてしまう場合があります。

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開発スケジュールと納品の遅延
オフショア開発では、現地のエンジニアの「期日厳守」の感覚が日本よりも薄く、開発スケジュールが遅延することがあります。
世界的に見ても日本は時間を守ることに対する意識が高い国です。電車は分単位で正確に発着しますし、遊びのための集合時間でも30分以上遅刻する人は多くないでしょう。そのような日本人にとって当たり前の常識や感覚が、国によっては重要視されていません。これはシステム開発においても同様です。現地のエンジニアが各々のペースで進めていて、プロジェクトの進捗が悪く、結果的に納品が遅れてしまうといった失敗事例があります。
結果的に予算をオーバーしてしまった
開発コストを削減できることが、オフショア開発の大きな魅力です。しかし、設計どおりになっていないところを幾度も修正していくうちに、予期せぬ費用の増加が発生するといった失敗事例があります。エンジニアの技術力が低く、人月単価は安いものの開発期間が長くなり、結局日本のエンジニアに依頼するよりもコストがかかってしまいます。
オフショア開発が失敗する5つの原因
オフショア開発を実際に活用した会社のリアルな体験談を聞くと、前章のような失敗をするケースが多くみられます。一見、現地のエンジニアの仕事ぶりがよくないように思われがちですが、実はその原因の多くが発注側(日本企業側)にあるのです。以下の5点は、本当によくあるオフショア開発の失敗原因です。オフショア開発を検討する際は注意しましょう。
1.コスト削減を軸にし過ぎている
国内開発よりも開発コストを大きく削減できることが、オフショア開発の一番の魅力ではありますが、安さを軸に物事を判断すると、初手から失敗の原因を作っていくことになります。コスト削減に重きを置いた結果、以下の2つの失敗がまず起こるでしょう。
①委託する国の選定に失敗
オフショア開発を成功させるためには、適切な国の選定がまず重要です。なぜなら、先ほど「オフショア開発の主要国」で言及したとおり、国によってコミュニケーション言語や文化の違いに差が開き、その差が開けば開くほど、開発に影響を与えやすいためです。
例えば、人件費軸を優先すると最安値はフィリピンになりますが、フィリピンは日本語の話せるエンジニアは滅多にいません。英語と日本語の双方をしっかり理解できるブリッジSEをおかないと、仮にエンジニアが優秀なスキルを持ち合わせていても、品質に影響が出ます。
安さに重きを置き、開発実績のない会社を選ぶ事例も散見されます。
複数社の見積もり比較したとき、金額を一番の検討軸にするのはやめましょう。経験が浅いエンジニアが担当することになっているなど、安さの裏には何かあると思っていた方がいいでしょう。
2.ブリッジSEの能力が低い
オフショア開発で開発を円滑に進めるためには、技術と言葉の架け橋となるブリッジSEの役割は非常に重要です。ブリッジSEの能力が低いと、プロジェクトの品質低下に繋がります。例えば、先ほどベトナムは日本語が話せるエンジニアが多いと紹介しましたが、ふたを開けてみれば現場レベルの日本語としては未熟な場合があります。そうなると、要件の説明不足やコミュニケーションの不備などが起こりやすくなり、結果的に品質の低下に繋がります。
3.要件や仕様が曖昧なまま伝わっている
エンジニアのスキル不足だけでなく、発注者側が要件を曖昧に伝えてしまったがゆえに、納品物の品質が落ちてしまうことがあります。国内開発においても要件定義や設計は重要ですが、異国間となってはそれがなおさらです。
日本人同士では仕様書に細かく明記されていないことであっても、発注者側の意図を汲み取ったり、親切心から機転を利かせて柔軟に対応することがあります。しかし、海外では基本的に要件定義書や設計書に書かれていないことは、責任の範囲外なので対応しません。概要を伝えるだけでは品質の低下、度重なる修正による納期の遅延が発生し、想定の予算を上回ってしまいます。
4.進捗の管理不足
オフショア開発で納期の遅れが生じたり、品質低下を招いたりする原因のひとつに、開発の進捗確認不足があります。日本の会社では小さな問題も報告するのは当然のことですが、日本人の当たり前は海外のエンジニアにとって当たり前ではありません。問題なしと報告を受けていても、いくつかの小さな問題が起こっていることがあります。
進捗確認を怠ると、後々になってイメージと違うシステムができていることに気づき、またシステムを開発し直すこととなり、納期の遅延や開発コストの増加に繋がってしまいます。
5.ミスコミュニケーション
日本人の非言語コミュニケーションが、高品質なシステム開発の妨げになっている場合があります。日本人は世界的に見ても非常に特徴的で、「いい感じにお願い」や「よしなにやっておいて」の言葉からも分かるように、言葉では表現しきれないニュアンスを伝えることで、会話が成立しています。
しかし、海外の人にはそれは通じません。そのような微妙なニュアンスの言葉を用いることで、現地のエンジニアと認識の齟齬が生じたまま開発が進み、結果的に当初の計画と違うシステムができあがってしまいます。
オフショア開発を成功させるための5つのポイント
前章ではオフショア開発で失敗する原因を解説しました。失敗談を見ると、オフショア開発はややこしく手を出しづらいと感じてしまうかもしれません。
しかし、発注者側(日本側)がいくつか気を付ければ、しっかりとオフショア開発を成功に導くことができます。オフショア開発を成功させるための秘訣を7つ紹介します。
1.オフショア開発の委託先を正しく選ぶ
オフショア開発の委託先の選定をするにあたって、まずはどの国を選ぶかが大切です。
国を選ぶ際は特に以下のポイントを考慮しましょう。
①時差
⇒日常のやり取りはもちろん、緊急対応が入った際に時差が少ない方が迅速に対応可能。
②日本語でコミュニケーションが可能か
⇒認識の齟齬が生まれないように、現場レベルの会話が日本語でできるか確認。
③人件費
⇒人件費は社会情勢や物価にも左右されるため、最新の情報をチェック。
④インフラの整備状況
⇒電気や情報通信のインフラ整備が整っていないと、開発業務に影響が出る。
⑤国民性
⇒日本人と似た国民性(謙虚、協調性重視、勤勉)の方が取りまとめやすい。
オフショア開発に積極的に取り組んでいる株式会社SALTOとしては、これからオフショア開発の活用を考えている企業に対しては、やはりベトナムを選ぶことをおすすめします。理由は上記ポイントを総合して考えると、一番バランスがいいのがベトナムだからです。
オフショア開発を委託する国を選んだら、次は委託する会社の選定です。自社が作りたいシステムの分野に知見があるのか、実績はあるのかをまず確認しましょう。
いくつか候補を見つけたら、実際に問い合わせたり資料を請求したりして、見積や日本語の話せるブリッジSEの有無、窓口担当のレスポンスの早さを考慮して会社を選びます。
2.見積もりは詳細に確認する
複数社の見積もりを比較してみましょう。
ここで注意したいのは、開発コストが安すぎる見積もりです。「安かろう悪かろう」という言葉があるように、相場と比較して目立って開発コストが安い場合、何かしらの理由があります。例えば、経験の浅いエンジニアでチームが作られていたり、作業範囲が狭かったりといった事情があるかもしれません。気になる点を見つけたら開発会社に問い合わせて確認しましょう。
3.要件を細かく明示にする
誤解や不明確な点を避けるため、詳細な要件定義とドキュメンテーションが必要です。
大まかな要件定義書を作成して開発を進めると、合間合間で修正をかけて開発スケジュールが遅れたり、後々になって想定と違ったシステムが納品されたりします。国内開発のときよりも意識的に詳細を明記するようにしましょう。
また、日本人同士の感覚や「普通」は、外国には通じません。例えば「若者に受けそうなデザイン」と言われて、日本人の想像するデザインと、外国人が想像するそれは別物です。言語化しづらいものがあれば、サンプルを用意するなどして的確に委託先に伝えましょう。
4.指示や要望は直接的な表現で言語化して伝える
現地のエンジニアに何か指示をする際は、曖昧な表現を用いずに、直接的な言葉で伝えるようにしましょう。
繰り返しになりますが、オフショア開発では言葉の壁によるミスコミュニケーションが注目されますが、それは発注者(日本企業)側の問題でもあります。日本人同士の場合は、概要を伝えれば相手の意図を汲み取って阿吽の呼吸で開発を進められますが、海外にそういった文化はありません。オフショア開発では失敗の原因になるので、意図を組んでくれるだろうとは期待しないでください。修正してほしいことなども遠慮して遠回りな表現を使わず、分かりやすい日本語で直接的に指摘することが必要です。
5.こまめに進捗管理をする
オフショア開発での失敗を防ぐために非常に重要なのが、進捗管理を定期的に、そしてこまめに行うことです。
言語や文化の違いによる価値観のずれや、捉え方の違いから、認識の齟齬や開発スケジュールの遅延はどうしても起こってしまいます。
週1回の定例報告会を実施したり、Slackなどのチャットツールを利用してタイムリーに連絡がとれるように工夫したりと、国内開発よりもこまめに進捗を追うことで、開発スケジュールと品質を保つことができます。
おすすめのオフショア開発会社5選
最後に、オフショア開発でおすすめの会社を5社厳選してご紹介します。オフショア開発をご検討されている方は、ぜひ一度資料をダウンロードしたり問い合わせをしたりして、自社にどのようなメリットがあるのかを確認してみてください。
株式会社SALTO
まず自信をもっておすすめしたいのが、弊社、株式会社SALTOです!
015年9月に設立したシステム開発会社で、2019年にベトナムにオフショア開発拠点となる現地法人を設立しました。要件のヒアリングから設計・開発・テスト・納品まで、一気貫徹で低価格での対応が可能です。
日本企業にシステムエンジニア及びマネージャーとして10年以上在籍した経験のあるベトナム人の開発者が参画するため、開発を進める上でコミュニケーションのやり取りが容易です。また、翻訳専任者も在籍しているため、言語の違いによるトラブルの心配が無いことが強みです。
さらに、専任の管理者を置いておりますので、オフショア開発で問題になりやすい品質についても保証します。

開発オクトパス
株式会社LIG
株式会社LIGは、2007年にWeb制作会社として設立され、現在はデザイン力とグローバルな開発体制という強みを活かし、サービス開発やアプリ開発、パッケージ導入(CRM・CMS・SFA)、AWSクラウド構築、データ収集・分析を行っています。
オフショア開発の開発手法としてはラボ型開発を採用しています。フィリピンとベトナムに海外拠点があり、総勢150名以上の優秀なエンジニアからプロジェクトに合わせて最適なエンジニアをアサインし、チームを構築します。
ブリッジエンジニアは100%日本人で、現地エンジニアとのコミュニケーションに不安を抱えている企業でも安心してプロジェクトを進められるでしょう。
株式会社モンスター・ラボ
株式会社モンスター・ラボは、2005年に設立したシステム開発会社です。ビジネスパートナーとして企業のDX化を支援しており、システム開発のほか、ビジネスの設計・企画、UX/UIデザイン、ブランディングなどにも対応しています。
ベトナムや中国など、世界18の国と地域・ 28都市に拠点を構えており、グローバルな開発経験や知見があります。これがモンスター・ラボのオフショア開発の強みです。2200件を超える開発実績があり、AI活用やIoTに関するノウハウも蓄積されています。詳しい成功事例も掲載されておりますので、ご覧になれば具体的な成功イメージが描けるでしょう。
株式会社ブライセン
株式会社ブライセンは、1986年に設立された老舗のシステム開発会社です。ベトナム・ミャンマー・カンボジア・韓国と、オフショア拠点が5ヶ国にあり、オフショア開発に圧倒的な強みがあります。総勢850人の日本・海外法人所属のエンジニアの中から、プロジェクトに応じてハイブリッドなチームを編成。幅広い領域の業務を海外で対応できるため、品質、コスト、スピードの全ての条件を満たしたシステム開発が可能です。
日本と海外で国をまたぐジョブローテーション制度があり、日本語力や日本の文化を吸収したエンジニアがシステム開発を担当することになりますのでコミュニケーション面も十分安心できます。
プレイネクストラボ株式会社
プレイネクストラボ株式会社は2016年に創業した開発会社です。「世界の才能と日本の可能性をつなげるプラットフォーム創出」をミッションとし、スマホゲームやHR TECHサービス、チャットボットシステム開発などの幅広いサービスを開発してきました。
日本国内の従業員の過半数が外国人のエンジニアです。グローバルなメンバーで専用の開発チームを構成するラボ型開発を行っており、開発スピード、発想の柔軟性、提案力を強みとしています。海外のトレンドもいち早くキャッチしているため、新技術を活用したオフショア開発を行いたい企業にはおすすめの会社です。
他にオフショア開発の実績が豊富な会社をご覧になりたい方は、下記関連記事で紹介しておりますのでご覧ください。
まとめ
本記事では、オフショア開発で失敗しやすい事例とその原因、そして成功へのポイントを解説しました。
オフショア開発を活用する大きな目的として開発コストの削減がありますが、安さを一番の検討軸として考えてしまうと、オフショア開発を大きな失敗へと導きます。まず見積の金額に対してエンジニアの質は妥当なのか、どこまで業務を担当してくれるのかなど、細かい要件や条件を確認しておくといいでしょう。
実際に開発を進める段階に入ったら、要望や指示を直接的な表現で言語化することや、進捗管理をこまめに行うことが大切です。オフショア開発は異文化間でのやり取りになるので、必ずどこかで認識の齟齬が生じるはずです。それらを早め早めに修正しながら開発を進めていきましょう。
オフショア開発を進めるにあたっての留意点さえ抑えて対策すれば、失敗は未然に防ぐことができます。ぜひ効果的に活用してみてはいかがでしょうか。

この記事の著者
中島 彩
株式会社SALTOに営業職として入社後、WEBマーケティング職にキャリアチェンジ。コンテンツディレクター業務からライティング業務まで一貫して対応。自社のシステム開発のノウハウを取り入れた記事を執筆中。




