マッチングシステムの種類や必要な機能・開発の費用まで詳しく解説!
マッチングシステムは、企業や個人のニーズを効率的に結びつけるための仕組みで、双方の希望や特性、データに基づいて最適な相手を探すプラットフォームです。採用やサービス提供、ビジネスマッチングなど、幅広い分野で活用されています。例えば、求人サイトでは求職者と企業、Eコマースでは購入者と商品が効率よくマッチングされます。
本記事では、マッチングシステムの種類、収益モデル、必要な機能、システムの仕組み、そして開発にかかる費用について、詳しく解説します。
マッチングシステムとは?
マッチングシステムとは、企業や個人、さらには消費者同士を効率的に結びつけるためのシステムです。このシステムの基本的な役割は、需要と供給、または共通のニーズを持つ人々をつなげることです。
具体的な例として、ビジネスのパートナーを探す「ビジネスマッチングプラットフォーム」、個人間での売買が行われる「フリーマーケットアプリ」、企業と求職者をつなぐ「求人情報アプリ」などが挙げられます。
従来、マッチングシステムは主に企業と消費者の関係をつなぐことに焦点を当てていました。例えば、Eコマースサイトでは企業が商品やサービスを提供し、消費者がそれを購入する形で結びつきます。
しかし、近年では企業同士の取引を促進するB2B(ビジネス・トゥ・ビジネス)向けのマッチングシステムや、個人同士がつながるC2C(コンシューマー・トゥ・コンシューマー)向けのシステムも増加しています。
たとえば、異業種間の連携を支援するプラットフォームや、フリーランサー同士をつなぐネットワークがその例です。これにより、ビジネスや取引のチャンスがさらに広がり、多様なニーズに応えるマッチングシステムが普及しています。

開発オクトパス
マッチングシステムの種類
マッチングシステムの種類は主に「BtoB」「BtoC」「CtoB」「CtoC」の4つに分類されます。それぞれの特徴と具体的なシステムやサービスについてご紹介します。
BtoB(Business to Business)
「BtoB」のマッチングシステムは、企業同士を結びつけるプラットフォームです。例えば、異業種間のビジネスマッチングや、パートナー企業の紹介、取引先の拡大を目的とするシステムが該当します。企業間での製品やサービスの提供が行われます。
ビジネス系マッチングシステム
BtoBのビジネス系マッチングシステムは、異業種や同業種の企業同士が新たなパートナーシップを形成するためのプラットフォームです。例えば、製品を共同開発する企業や、取引先を探している中小企業などが、これを通じて適切なビジネス相手を見つけることができます。具体的には、事業連携の提案や、新規取引先の発掘に利用されるケースが多く、企業間の効率的なマッチングを促進します。
M&Aマッチングシステム
M&Aマッチングシステムは、企業の買収や合併を検討している企業と、それを希望する企業を結びつける仕組みです。特に、中小企業の後継者問題解決や成長戦略の一環として利用されることが多く、売り手企業と買い手企業を効率的にマッチングします。これにより、企業の存続や規模拡大がスムーズに進められることが期待されます。
BtoC(Business to Consumer)
「BtoC」のマッチングシステムは、企業が消費者に商品やサービスを提供する形式です。オンラインショッピングサイトや、飲食店の予約アプリなどが代表例で、企業が提供する商品やサービスと消費者をマッチングさせます。
求人・転職サイト
求人・転職サイトは、企業が提供する仕事情報と、求職者のスキルや希望条件をマッチングさせるBtoCの代表的な例です。企業が掲載する求人情報に対して、求職者が自分のスキルや経歴を基に応募し、企業側は適切な候補者を選びます。求職者にとっては希望に合った仕事を見つけやすく、企業にとっては必要な人材を効率的に確保できる仕組みです。
旅行予約サイト
旅行予約サイトは、企業が提供する宿泊施設や航空券、ツアー商品などを消費者が簡単に比較し、予約できるBtoCのマッチングプラットフォームです。消費者は予算や希望条件に合った旅行プランを探し、予約を完了することができます。これにより、旅行の手配が簡素化され、企業側も顧客にアプローチしやすくなります。
CtoB(Consumer to Business)
「CtoB」のマッチングシステムは、消費者が企業に自らのスキルやサービスを提供する形式です。クラウドソーシングサイトやフリーランスが企業と仕事をマッチングするシステムがこれにあたります。消費者側が主体となり、企業へ価値を提供します。
クラウドソーシング
クラウドソーシングは、消費者が自分のスキルや労働力を提供し、企業がその業務を委託する形態のCtoBのマッチングシステムです。フリーランスのライターやデザイナー、エンジニアが、自分のスキルを企業に売り込み、企業がその人材をプロジェクト単位で活用することができます。これにより、企業は専門的な業務を柔軟にアウトソースでき、消費者側も働く機会を得やすくなります。
素材提供サイト
素材提供サイトは、写真、動画、イラストなどのクリエイティブ素材を消費者が企業に提供するプラットフォームです。企業は広告やウェブサイトで利用するための素材を購入し、クリエイターは自分の作品を販売することで収入を得ます。これにより、企業は手軽に高品質な素材を入手でき、消費者は自分の作品を収益化できます。
CtoC(Consumer to Consumer)
「CtoC」のマッチングシステムは、個人同士を結びつけるプラットフォームです。フリーマーケットアプリや、シェアリングエコノミーに基づいたアプリ(例えば、シェアハウスやカーシェアリングなど)が該当します。個人間での売買やサービスの提供が行われます。
フリマアプリ
フリマアプリは、個人同士が中古品や不要な物を売買するプラットフォームです。ユーザーは自宅で不要になったアイテムをアプリ上で簡単に出品し、他の個人がそれを購入します。購入者にとっては安価に商品を手に入れることができ、出品者にとっては不用品を現金化する手段として利用されます。CtoCの代表的な例としてメルカリなどがあります。
婚活アプリ・出会い系サイト
婚活アプリや出会い系サイトは、個人同士が恋愛や結婚を目的として出会うためのマッチングプラットフォームです。ユーザーはプロフィールを登録し、条件に合った相手とマッチングすることで、メッセージをやり取りし、リアルな出会いへと進むことができます。特に婚活アプリでは、真剣な出会いを求めるユーザーが多く、結婚を前提とした交際相手を探す手段として利用されています。
マッチングシステムの収益方法
マッチングシステムの収益方法は主に、「手数料方式」「広告収入方式」「定額課金方式」「従量課金方式」の4つです。それぞれの収益方法や具体的にどういったシステムで利用されることが多いかをご紹介します。
手数料方式
手数料型の収益モデルは、マッチングが成立した際に、取引の金額に応じて一定の手数料をシステム運営者が受け取る仕組みです。これは、取引が実際に行われた場合のみ収益が発生するため、ユーザーにとっても利用しやすいモデルです。
具体例としては、フリマアプリが挙げられます。売買が成立した際に、売り手から一定割合の手数料が運営会社に支払われます。
広告収入方式
広告収入型は、マッチングシステム上に広告を掲載し、その広告クリックや表示回数に応じて運営側が収益を得るモデルです。ユーザー数が多ければ多いほど、広告収入が期待できるため、無料で利用できるサービスに適しています。
例として、マッチングアプリは多くのユーザーが無料でアプリを利用し、広いユーザーベースを持つため広告収入型が効果的です。
定額課金方式(サブスクリプションモデル)
定額課金型、またはサブスクリプションモデルは、ユーザーが月額や年額で一定の料金を支払うことで、サービスを利用できる仕組みです。定額で安定した収益を得られるため、ユーザーの満足度を維持しつつ長期的な利用を促すことが重要です。
具体例としては、婚活アプリがあり、ユーザーは有料会員になることで、追加機能(メッセージ機能やプロフィール閲覧など)を利用できるようになります。
従量課金方式
従量課金型は、ユーザーがサービスを利用した分だけ課金されるモデルです。利用者が使った時間やデータ量、マッチング回数などに応じて料金が発生するため、ユーザーは使った分だけ支払う形になります。
具体例としては、クラウドソーシングサービスや出会い系サイトがあり、マッチングの回数や特定のオプションサービス(プロジェクトの優先表示、詳細なリサーチ機能など)を利用した場合、その都度料金が発生します
これらの収益モデルは、マッチングシステムの特性やユーザー層に合わせて最適に組み合わせることで、収益の最大化が期待できます。たとえば、手数料型と定額課金型を組み合わせれば、取引ごとに手数料を得つつ、安定した月額収入も確保できます。
また、無料ユーザーを増やして広告収入を得つつ、有料会員向けにサブスクリプションモデルを導入することで、異なるニーズに応じた収益源を多角化できるのがポイントです。

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マッチングシステムの仕組み
マッチングシステムは主に、「掲載型マッチングシステム」か「レコメンド型マッチングシステム」に分類されます。それぞれの違いと具体的なサービスの例を挙げてご紹介します。
掲載型マッチングシステム
掲載型マッチングシステムは、ユーザーが自分の情報や商品、サービスをシステム上に掲載し、他のユーザーがその情報を自ら検索して選ぶ仕組みです。つまり、情報がリスト形式で掲載され、ユーザーは条件に合った相手や商品を自分で探す形になります。掲載された情報をもとに、ユーザーが自主的に相手や商品を選んでアクションを起こすため、シンプルかつ自由度が高いのが特徴です。
不動産情報サイト
不動産業者や個人が物件情報を掲載し、ユーザーが地域や価格、間取りなどの条件で検索して物件を探します。これにより、ユーザーは自分の希望に合った物件を効率的に見つけることができます。
フリマアプリ
ユーザーが不要な商品を出品し、購入者はそれをリストから選んで購入します。売り手が商品情報を掲載し、買い手が自由に選択する形式です。
レコメンド型マッチングシステム
レコメンド型マッチングシステムは、AIやアルゴリズムを活用して、ユーザーの希望条件や過去の行動データに基づいて自動的に相手や商品を提案(レコメンド)する仕組みです。システムが自動で最適なマッチングを提示するため、ユーザーは検索に時間をかけず、効率的に相手や商品を見つけることができます。精度の高いレコメンドが行われることで、ユーザーの満足度が向上するのが大きな特徴です。
婚活アプリ
利用者のプロフィールや行動データ(「いいね」の履歴など)をもとに、相性が良さそうな相手をAIが自動で推薦します。ユーザーは手間をかけずに、自分に合った相手と出会うことができます。
人材マッチングシステム
企業が求める人材と求職者のスキルや経験、希望条件を基にして、最適なマッチングを行うためのプラットフォームや仕組みです。このシステムは、企業の求人情報と求職者のプロフィールを照合し、効率的に適切な人材を見つけたり、求職者が自分に合った仕事を探す手助けをします。
マッチングシステムの開発費用
マッチングシステムの開発にかかる費用は、必要な機能や要望、構築方法、サイトの規模によって大きく異なります。
大まかに「掲載型マッチングシステム」「レコメンド型マッチングシステム」によっても必要になる機能に違いがあるため、それぞれの開発費用の相場を確認しましょう。
また、基本的な機能として以下の基本機能が最低限必要になります。
| 会員登録機能 | サービスに会員登録をする機能 |
|---|---|
| ログイン機能 | ログイン・ログアウトする機能 |
| マイページ機能 | 自身のプロフィールやお気に入り、登録した掲載物の状況を確認できる機能 |
| 検索機能 | ユーザや掲載物を検索する機能 |
| ユーザー管理機能 | システムの運営がユーザー情報を管理する機能 |
| 管理機能 | 掲載側の管理者がユーザーからの申請や掲載物を管理する機能 |
掲載型マッチングシステムの開発費用相場
掲載型マッチングシステムは必要な機能が比較的少ないため、小規模な予算から開発を始めることができます。
一般的には、ユーザー管理機能や検索機能、商品一覧機能などの基本機能を含むサイトの場合、300万円から500万円程度が相場とされています。
決済機能などの外部機能を追加する場合や、より高度な機能を実装する場合は、それに応じて費用が上がる傾向にあり、1,000万円以上必要な場合もあります。
レコメンド型マッチングシステムの開発費用相場
レコメンド型マッチングシステムは最低限必要な機能に加えて、AIを活用したレコメンドシステムを開発するため、大量のデータを学習させてモデルを作成する必要があります。
開発費用は高く、小~中規模でも500万円以上、大規模な場合は1000万円以上が一般的です。
開発費用相場のまとめ
マッチングシステムの開発は、仕組みや規模などによって大きく変動しますが、平均的な費用相場は以下の表のようになります。
| 小〜中規模 | 大規模 | |
|---|---|---|
| 掲載型マッチングシステム | 300万円~500万円 | 1,000万円以上 |
| レコメンド型マッチングシステム | 500万円以上 | 1,000万円以上 |
また、マッチングシステムの開発はサイトを構築するだけではなく、設計や要件定義、サイトを構築した後に動作テストやデータ移行、運営、保守などあらゆる過程で費用が必要です。
機能を充実させる程度によって大きくコストが変わってくるため、注意が必要です。
以下の記事では、マッチングシステムの開発が得意なシステム開発会社をこちらの記事にて紹介しておりますので、併せて参考にしてください!
まとめ
この記事では、マッチングシステムについて詳しく解説しました。マッチングシステムは、企業や個人同士を効率的に結びつけるためのシステムで、需要と供給、または共通のニーズを持つユーザーをつなげる役割を果たします。
マッチングシステムの開発には、必要な機能や仕組みによって費用が大きく変わります。システムの目的や規模に応じて、適切な開発を計画することが重要です。
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Illustration by Storyset

この記事の著者
井上雄太
株式会社SALTOにWebエンジニアとして新卒入社。エンジニアとしてWebアプリ開発の業務を経験したのちにマーケティング職に転向。記事のライティングやSNS運用業務を担当。



